3.

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「藤音綴ー、いるー?」  伊藤がドアを開けると、中から煙草の煙が一気に放出された。 「くっさ!」  伊藤が鼻を腕で覆う。 「あ?」  部室の中央に置かれた机に四人の男が向かい合って座っている。ジャラジャラと鳴るその音はギターのものではない。 「また麻雀かよ、何部だよ」 「伊藤じゃん」  銜え煙草で振り向いた綴が煙そうな伊藤に気づき、久しぶりと手を上げた。 「お客さん案内してきたよー」 「客?」  伊藤が後ろに向かって藤音居たよと声をかける。 「珍しいお客さん、高校生だよ!しかも赤ネクタイ!」  楽しそうに告げた伊藤の言葉に綴が驚愕の表情で立ち上がる。勢いで椅子が床に転がった。 「う、嘘だろ…?」
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