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入り口に現れた奏司の姿を見て、綴は銜えた煙草を落としそうになった。綴の向かいにいた発も席を立つ。
「奏司くん!いらっしゃい」
こちらは綴と違い嬉しそうな声で迎える。
「ちょっと何よ赤ネクタイって!とけーざかの音楽科がうちに何の用なの」
「綴お前とうとう高校生の!男子にまで!手出したんか!」
フォークソングとは一切関係なさそうな活動中の外野たちが、興味津々に綴と奏司を交互に見る。
「やかましわ!」
一喝して綴が入り口に立つ奏司の腕を取って外へ出た。外に出ても、ベンチに座っていた連中が好奇心いっぱいの視線を注いでいる。綴は舌打ちすると、そのまま奏司を向かいの建物まで引っ張って行った。
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