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 またしても二日間学校を休んだ綴に、今度は何事なのかと発がメッセージを送る。前期試験は終わっているとは言え、夏休みに入る前のレポートや課題などは多く、授業もしっかり有る。 「とうとう来たかな奏司ロス」  発はどういう種類の気持ちにしろ、綴に奏司は必要だと思っていたし、それは自分の中の想像ではなく綴の態度から推測したものだったので、そうだった所で不思議はないと思っている。 「また寝込んじゃってたらどうしようかな」  とりあえず救援物資は買って行かなきゃなと思っていた所で、綴からの返信が来た。 『部室にいる』  短いメッセージが発のスマホ画面に表示される。 「は?部室?!」  学校に居るのかよ!一限目が終わった教室で思わず大きな声を出してしまった発は、はっとして周りに愛想笑いをすると、すぐ様部室に向かった。 「綴!」  勢いよく部室のドアを開けると、イヤホンを突っ込んで長椅子に横になった綴を発見する。寝ているのか音楽を聴いているのか、綴は目を閉じたままだ。 「ちょっと綴…」  心配したのにまさかここで寝ていたのではないかと思うと、沸々と怒りが込み上げてくる。発が綴の肩を揺すろうと手を伸ばした時、綴の目がぱちっと開いた。
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