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今の会話で、奏司はやっと金縛りのような驚きが溶けて、綴に向き合った。
綴がポケットからオーディオプレーヤーを取り出す。本体に巻き付けられていたイヤホンを解くと奏司の耳に押し当てる。
「藤音さん…?」
自分を呼ぶ奏司の耳にカナル型のそれを押し入れて、しばらく綴は奏司の顔を見ていた。綴の手に両頬を包まれているような形になって、奏司は緊張したように背筋を伸ばした。
『聴け』
綴の唇がそう動いた。
「は…い」
奏司が返事をすると、綴はイヤホンから手を離して再生ボタンを押した。
「!!」
奏司が目を見開いた。
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