20.

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 教室が一気に騒がしくなる。奏司と豊に「あの人何者なんだ」という質問が至る所から飛んできたが、二人とも何も答えず脱力して座った。  豊が撫でられた頭を押さえる。 「ああもう!ああいうトコなんだよ、もう!」  豊に照れるような泣きたいような感情が押し寄せる。しかし豊は、そんな自分の気持ちはとりあえず制して、茫然とギターを見つめる奏司の肩をゆすった。佐々木も隣から覗き込む。 「大丈夫か、生きてるか?」  奏司が豊の方に顔を向ける。無表情なのは、多くの感情が押し寄せすぎて表情が追いついていないからだ。 「本物…」  え、どういう感想?と佐々木が首を傾げる。 「うっわ!本物の藤音さん!」  堰を切ったように奏司の感情が溢れ出す。 「今ここに居た?つか居たよな?夢?いや違う現実だよな?!だってギターがここにあるもんな!プレーヤー貸してくれたもんな」 「ちょっと一気に来たよこの人」
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