117人が本棚に入れています
本棚に追加
/395ページ
教室が一気に騒がしくなる。奏司と豊に「あの人何者なんだ」という質問が至る所から飛んできたが、二人とも何も答えず脱力して座った。
豊が撫でられた頭を押さえる。
「ああもう!ああいうトコなんだよ、もう!」
豊に照れるような泣きたいような感情が押し寄せる。しかし豊は、そんな自分の気持ちはとりあえず制して、茫然とギターを見つめる奏司の肩をゆすった。佐々木も隣から覗き込む。
「大丈夫か、生きてるか?」
奏司が豊の方に顔を向ける。無表情なのは、多くの感情が押し寄せすぎて表情が追いついていないからだ。
「本物…」
え、どういう感想?と佐々木が首を傾げる。
「うっわ!本物の藤音さん!」
堰を切ったように奏司の感情が溢れ出す。
「今ここに居た?つか居たよな?夢?いや違う現実だよな?!だってギターがここにあるもんな!プレーヤー貸してくれたもんな」
「ちょっと一気に来たよこの人」
最初のコメントを投稿しよう!