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「藤音さんマイクは?」
「使わねー」
奏司の問いに綴が短く答える。
「使って欲しけりゃ使うけど?」
「いや、いいです」
「音量絞んなくていいから」
奏司が頷く。なんとなく、マイクを通さない生の綴の声が聴きたいとも思った。
「よろしくお願いします、藤音さん」
奏司が頭を下げる。
「…気持ち悪い」
「え?」
ぼそっと呟いた綴の言葉が奏司には聞こえなかったのか、聞き返す奏司に「別に」と片手を上げると綴はタブレットを起動し音楽プレーヤーのアプリを起ち上げた。
「昼間渡したのと同じ音源だから、3カウントから」
「はい」
ホールにピリッとした緊張感が走る。
ギターソロから始まる『RIOT IN TOWN』、奏司はどんな風に弾くのか。発と豊がごくりと唾を飲む。
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