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 落ち着こうと思った矢先、奏司が綴の言葉に即時に強めの拒絶反応を示した。 「失敬な奴だな、初めて名前で呼んでやったのに」  無表情でそう言う綴に奏司が全力で首を横に振る。 「無いです、綴さんがくん付けとか。もっと偉そうに呼び捨てるイメージです」 「高倉に負けないくらい失礼だなお前」  最近の若者はみんなそうなのかと、綴が二歳しか違わない奏司にオッサンくさい台詞を投げる。 「最近の若者じゃなくても、綴さんと関わった人はそう思うと思いますよ」 「お前の中の俺のイメージがよく分かる台詞だな」  奏司が綴を見上げて少し黙った。 「何だよ…?」 「二年…」  ぽつりと奏司が呟く。 「最近の若者になんてなれなくていいです。俺は…」  いつか豊に語ったことのある願い。一生叶うことの無い願い。 「俺は…もう二年早く生まれて、綴さんと一緒に居る理由が欲しかったです」  無条件に一緒に居られる『同級生』という枠。  綴が奏司を見下ろしたままキュッと唇を結ぶ。そんな風に思っていたのかと、奏司の言葉に少し驚いているのが分かる。 「それでもやっぱり俺は、綴さんの声に惚れて、一緒にバンド組んで下さいって言うと思いますけど」
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