21.

20/23
前へ
/395ページ
次へ
 きっと恋をする。  同い年でも、何歳も離れても。  どんな風に出会っても。  どんな立場になっても。 「お前…」 「はい」  もういっそ、そんなに俺のことが好きなのかと聞いて欲しい。今なら、きっとこれは恋ですと言える気がする。  奏司が決意を込めて顔を上げ、綴の目を見つめる。 「呼び方が戻ってんぞ」 「…え」  綴の指摘に奏司が「本当だ」と気付く。「ああもう…」と項垂れたように机に腕を投げ出して突っ伏した。水泡に帰すとはまさにこれか…。 「まあどっちでもいいか、呼び方なんて」  綴の声が頭上から降る。奏司が脱力したまま頷く。でも佑木くんは本当に綴らしくないから止めてもらおう。赤ネクタイでもお前でも、ああもう、別にいいか。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加