22.

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 佑木奏司にとって、自分が全てなのかもしれない、奏司の態度を見ていると本当にそう思えてしまう。だからこそ…。 「奏司」 「はい!」  名前を呼ばれて嬉しそうに奏司が綴を見つめる。 「コンクール終わったら時間あるか?」 「え?」  握られていない方の手にはめられている腕時計を綴が見る。デジタル表示のそれが今日の日付を綴の目に映した。 「ちょっと付き合え」  奏司が握ったままの綴の手を更にギュッと握った。表情が一瞬曇る。気付いて綴が「違う違う」と首を振った。 「嫌なことじゃねえよ」 「…そか、よかった」  定期演奏会後に、「お前とは組まない」と 綴に言われたのがトラウマになっているのか、奏司は否定する綴の言葉に心から安堵した表情をした。  演奏前に変な気持ちにさせてしまっただろうかと、綴がちょっとだけ焦る。そして、 「終わったら表で待ってるから。デートしようぜ」  ちょっと気持ちを立て直してやろうと明るく軽く言ってみた、冗談のようなもの、綴にはその程度だった。 「デ、デ、デ、デート!!!」  テンションがマックス上がった奏司が、勢いで握った綴の手を引き寄せる。 「えっ」  綴の身体がぐっと奏司に近付いて、綴の心臓が大きく鳴った。
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