22.

8/17
前へ
/395ページ
次へ
 奏司がソッコーで終わらせたのは表彰式だった。インタビュアーの「おめでとうございます」に「ありがとうございます」と笑顔で答えると、そのままソッコーで舞台を降りた。 「おいおいおいおい」  客席で見ていた綴は、舞台上のインタビュアーと同じくらい慌てて席を立つと会場を出る。 「デートって言葉の威力を侮ったな、綴」  発が綴の後ろ姿を見送りながらボソリと呟く。 「…藤音さんて、どの辺まで解ってんでしょう?」 「どの辺?」  豊の問いに発が「うーん」と唸る。 「こいつ俺のこと好きかも」 「おお!」  豊が身を乗り出す。 「でも俺の声が?歌が?何が好き?いやまさか俺自身を好きとかはないよな?」 「えー…」  豊が残念そうにまた椅子にもたれた。 「いやでもこいつの態度って、もう普通に好きの範囲超えてねえか?」 「おお!」  再び豊が身を乗り出す。 「ちょっと恋愛感情に似てねえか?」 「おおお!」  豊の目が輝く。 「それで藤音さんは?!」
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加