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奏司がソッコーで終わらせたのは表彰式だった。インタビュアーの「おめでとうございます」に「ありがとうございます」と笑顔で答えると、そのままソッコーで舞台を降りた。
「おいおいおいおい」
客席で見ていた綴は、舞台上のインタビュアーと同じくらい慌てて席を立つと会場を出る。
「デートって言葉の威力を侮ったな、綴」
発が綴の後ろ姿を見送りながらボソリと呟く。
「…藤音さんて、どの辺まで解ってんでしょう?」
「どの辺?」
豊の問いに発が「うーん」と唸る。
「こいつ俺のこと好きかも」
「おお!」
豊が身を乗り出す。
「でも俺の声が?歌が?何が好き?いやまさか俺自身を好きとかはないよな?」
「えー…」
豊が残念そうにまた椅子にもたれた。
「いやでもこいつの態度って、もう普通に好きの範囲超えてねえか?」
「おお!」
再び豊が身を乗り出す。
「ちょっと恋愛感情に似てねえか?」
「おおお!」
豊の目が輝く。
「それで藤音さんは?!」
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