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「恋なのかなぁ、友情なのかなぁ、綴よく分かんなーい」
口元にグーをした両手を付けて小首を傾げる発の顔を「え、嘘でしょ」と豊が真顔で見る。
「ごめんね、うちの幼なじみ、割とそゆとこ鈍感なの」
鈍感というか、今回は鈍感でいたい案件というか慎重でいたい案件と言うか…。
でも『恋愛感情です』と知られて良いものなのかどうかは分からないですねと豊が首を捻る。
「奏司は藤音さんの側にいられなくなるのが一番辛いだろうから」
「『受け入れてもらえなきゃ』の話ね」
「え、勝算あります?」
発がまた唸る。
「つか、奏司が暴走しないといいなあ」
「…え?」
とっても有り得そうなその状況を想像して、発も豊も一瞬黙る。
「だよねえ…綴大好き奏司くんだもんねえ」
発と豊は、ソッコーで奏司が居なくなった舞台と、綴が出て行った扉を見て、苦く笑った。
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