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 人間界と天界は切っても切れない関係にある。それは、人間たちが神の存在を望んでいるからだ。その大きな期待と祈りがあるからこそ、私たちは存在し続けることができる。その因果で、人間たちに大きな変化があれば、私たちの存在にも影響が出てしまう。  すでに天界の端の方では、光の届かない黒い影が覆う場所が出現したと聞く。光は、人間で例えるならば空気のようなもので、光を浴びていなければ私たちは消えてしまう。  もはや、人間界だけの問題ではなくなっていた。 「――と、これを試してみたいと思うのですがいかがでしょうか?」 「……うーん」  下柳くんの案を聞いて、正直に私は落胆した。こんなに優秀な彼から出された案だとは言えない、とてもチープで安易な提案だった。 「どうでしょうか?」 「どうって――」 「言ノ葉神様の思っていることはわかります。こんな案で、本当にこの状況を変えることができるか疑っているのでしょう? ですが、他に何か案はありますか? ここは、僕を信じてもらえないでしょうか?」 「……」  ここまで熱い下柳くんを初めて見た。私が思っている以上に、彼の中には熱い何かが宿っているようで、その熱意に感服していた。 「……言ノ葉神様」 「……わかったよ。下柳くんの案を試してみよう」 「――ありがとうございます!」  とてもうれしそうな顔の下柳くん。少なからず不安は残っているが、今はこの案にすがるしかない。  私は、さっそく下柳くんの案を実行に移した。
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