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「葉っぱついてるで」
彼が私の頭に手を伸ばした。
髪に少し触れた手に胸が高鳴る。
この瞬間までは
一目惚れって都市伝説だと思ってた。
目の前に黒いお守りがぶら下がる。
「これ京都の神社のやつやろ?」
北斗七星の刺繍がされている。
「よくわかりましたね」
「珍しいからな。俺その隣の神社で合格祈願してん」
有名な学問の神様がいらっしゃる神社。
京都の受験生たちは皆そこへ行く。
「やっぱり関西の人なんだ(笑)」
彼は不思議そうに首をひねった。
「何で受験と関係ないお守りにしたん?」
「冗談みたいなものです」
「冗談?」
「私の名前が北斗七星のアニメに出てくるキャラと同じ名前なんです」
「そうなんや。何て名前……」
質問の途中。
「君たち早く会場に入りなさい」
職員さんに声を掛けられた。
気付けば正門が閉められている。
やばっ!
慌てて二人で走り出した。
「俺の時計は安物やし捨ててくれてもええけど」
「はい?」
走りながら叫ぶ。
「壊したやつは弁償したいねん」
「元々壊れてたからいりません」
「動かん時計持って来るあほおらんやろ(笑)」
います。ここに。
「やから、試験終わったら電話して」
彼は参考書の最後のページに
電話番号を走り書きして破いた。
私にそのメモとお守りを握らせた。
梅の花が刺繍された合格守り。
建物の入口にたどり着く。
「わ、私の試験会場ここです」
「俺もっと奧の建物やねん。走るわ」
ゼエゼエと息が上がる。
日頃の運動不足が祟った。
名前を聞き忘れたと思ったけれど
また試験が終わってから聞けばいいや、と
ポケットにメモを忍ばせた。
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