序章

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神楽「じゃあ、なんで剣道なんかやってるの?」 確かに、武道なんだから試合に勝ち負けがあるのは当たり前なのだが。 タクヤ「……うーん、なんでだろう?」 と、そのとき。 タクヤ「お、噂をすれば……、剣道部のエース、加納タカヤの登場だ」 俺たちの隣に止まったリムジンの窓から顔を出す男。 タカヤ「おはよう、タクヤ、琴乃さん、神楽ちゃん。…なんの話をしてるんだい?」 こいつは加納タカヤ。俺の幼馴染みで、こう見えても剣道部一の猛者だ。 タクヤ「全国大会の話だよ」 タカヤ「ああ、もうすぐだな」 タカヤがリムジンを降り、後ろ手にドアを閉める。 運転手が「それでは、坊ちゃま」とかなんとか小声で挨拶し、タカヤが笑顔で手を振って、挨拶する。 リムジンが静かに発進し、去っていく。タカヤはそれをちらりと見送って、こちらに向き直る。
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