序章

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???「タクヤさん、朝ですよ、起きてください」 タクヤ「うぅ……」 ???「もうすぐ朝ごはんが出来ますから、起きてくださいよ」 ああ、琴乃だ……もう朝か……。 タクヤ「もう……ちょっと、あと五分……」 夜中までゲームをしていたので、ぜんぜん寝足りない。 琴乃「いつもそんなこと言うんだから」 少しだけ不満のこもった、でも限りなく優しい琴乃の声。 彼女はそういう娘なのだ。ここ数年、琴乃が本気で怒った声を聞いた覚えが無い。 タクヤ「ほんとに、あと五分だけだから……」 琴乃「はぁ……あと五分ですね。用意して待ってますから、降りてきてくださいね?」 呆れた声で念を押す琴乃。 タクヤ「分かったよぉ」 琴乃「絶対ですよ?」 タクヤ「ぜったい、だよぉ」 琴乃「……本当かなあ」 頼りなさげな俺の返事にため息をつきながらも、とんとんとん、と琴乃が階段を降りていく音が聞こえる よし、これでしばらくダラダラ出来るぞ。時計を確認して、あと五分……。
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