序章

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六介「んー、美味しいのう。やはり日本人は味噌汁じゃ」 タクヤ「ちょっと味が薄いような気もするけどなあ」 六介「そうか?このくらいがちょうどいいじゃろ?」 琴乃「塩分は控えめがいいんですよ」 神楽「私もこのくらいがいいと思うよ?」 タクヤ「そうか。俺の舌が鈍いのかもしれないなあ」 ……などと世間話をしながら食卓を囲む俺たちは、実は家族ではない。 六介「たくあんもちゃんと食うんじゃぞ、タクヤ」 と、口うるさいのは俺のじいちゃん、八神六介。と言っても、血のつながりはない。 詳しいことはいずれ語るとして…… 琴乃「あさりが安かったんで、今日はあさり汁なんです。美味しいでしょう?」 我が家の食卓を預かる、若くして母性の象徴のようなこの女の子が、朝倉琴乃(あさくらことの)。 神楽「うう、ちょっと貝は苦手かな……💧」 六介「苦味があるから、子供は苦手なのかもしれんのう」 神楽「うう、私子供じゃないもん!」 と、頬を膨らませてむくれるかわいらしい女の子が、朝倉神楽ちゃん。琴乃の妹だ。 この二人は、近所に住んでいる昔馴染みで、男所帯のこの家の惨状を見かねて、食事を作りに来てくれているのだ。
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