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無性に気になり、部屋まで行くとそこには誰もおらず・・・
普段は雑多に置かれた物で部屋が埋め尽くされているはずなのに、今日は整然としていた。
片づけられた部屋の真ん中にある白いテーブルには薄いブルーの便せんが二つ折りにして置かれていた。
置かれた手紙を読んでみる。
ーありがとうー
君がこの手紙を読んでくれたなら、僕は結局一人ではなかったのだろう・・。
俺はずっとこの世界に生まれ墜ちた意味を探して生きてきた
時に人前で歌い、自分の曲を知ってもらったように
時に絵を描き、いろんな人に見てもらったように
時に物語を紡ぎ、いろんな人に答えを求めたように
時に唯一無二のナニカを作り、唯一無二の人に渡したり
この多元宇宙の中の1つの世界で、何を求められて存在するのか?
懸命に探してきたが、正直もう疲れてしまった
俺は何かを成すような者ではなく、誰かに期待されるような者ではなかった
俺は俺が嫌いだ
その想いを消せない限り、生きていくのはつらく切ない
だから、ある日ある時から1年だけ、すべてを賭けて生きる意味を探そうと決めた。そして、見つからなければこの世界に生きる意味はないのだと結論づけようと・・そう決めた
まもなく1年の期限は来る
だから、せめてこの世界から旅立つために、自分なりに納得のいく場所で
納得のできる光景を見ながら・・旅立つことにした
君が気にかけてくれているのに申し訳ないが、きっと本来君とはこの世界では出逢う運命ではなかったのだと思ってほしい
何にしても、君の中に俺はいる
その事実にありがとう
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