さかなくわえねこの大ピンチ

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 ぬ。つまり、誘導尋問に引っかかったってことか。いや、まだごまかせるかもしれない。 「いや、俺の勘違いだった。そんなの拾ってない」  そう言うと、「そうですか。他を当たります」と諦めて帰ろうとした。単純なやつで助かったと思ったら、 「ねこはさかなくわえねこです」  と言いながらさかなくわえねこが玄関に来てしまった。  おいおい。そのまま部屋の中にいてくれよ。タイミングの悪いさかなくわえねこにいらだった。 「あ、さかなくわえねこ。やっぱり拾ったんですね」  バレてしまっては仕方がない。 「しょうがねえな。俺が買うよ。いくらだ?」  今更さかなくわえねこがいない生活は考えられなかった。 「1億5000万です」 「1億5000万?」  安月給のサラリーマンに払えるような金額じゃない。 「もっと安くならねえの?」 「規則は規則ですから」 「規則?」 「3回クーリングオフされたねこは、リセットされます。そして新しい雇い主のところに向かいます。その規則を破った場合罰金として1億5000万必要です」  つまりリセットすれば安く買えるってことか? 「リセットってどうなるんだ?」 「今までの記憶を消します。3回もクーリングオフされたのには何か原因があるはずですから、解体して調べる必要があります」 「記憶を消すだと? それは駄目だ」  これまで一緒にいた記憶を消すなんて冗談じゃない。 「では1億5000万」 「もっと商売上手なねこいないの?」 「はい?」 「俺がリセットなんてしなくていいって言ってんだからさ。手間が省ける分お得だろ」 「規則は規則です」  融通がきかないな。さすがさかなくわえねこの仲間だ。
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