さかなくわえねこの大ピンチ

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 俺はアプローチを変えてみた。 「お前さ、クーリングオフの回収しかできないの?」 「どういう意味ですか?」  ねこ型ロボットは少しいらだったように見えた。 「さかなくわえねこの方が優秀だな」 「あんな3回もくーりんぐおふされる無能と一緒にしないでください」  ねこの間でも優越感や劣等感があるのか。ちょっと面白いと思った。 「じゃあ他に何ができるんだ?」 「へんぴんうけつけねこです」 「それだけ?」 「それからくじょうしょりねこです」 「他には?」 「しょうひんせつめいねこの機能も兼ね備えて」  それだ! と思って、くーりんぐおふかいしゅうねこが最後まで言い終わる前に、「しょうひんせつめいねこ」と言いながら背中のスイッチを押した。 「ねこはしょうひんせつめいねこです」  モードが切り替わったようだ。まださかなくわえねこで試したことはなかったので、本当なんだと感心した。 「さかなくわえねこはいくらで買える?」 「さかなくわえねこはさかなをくわえることができます。年間15万円でレンタルできます」  レンタル? 買えるんじゃないのか。 「じゃあ、このさかなくわえねこをレンタルするよ」 「それは不良品なので、一度回収してからになります」  くそっ。やっぱり駄目か。 「ねこは不良品ではありません」  突然さかなくわえねこが言い出した。 「くーりんぐおふされるには理由があるはずですから、不良品を疑います」 「不良品でもいいって言ってんのに」 「ねこは不良品ではありません」  さかなくわえねこはまた言った。こいつら本当にややこしいんだよ。 「じゃあ、すいみんぐねこが欲しいんだけど」 「そのねこの背中のスイッチを『すいみんぐねこ』と言いながら押すと『すいみんぐねこ』に切り替わります。ただ、一度切り替えると」 「24時間変更できないんだろ。知ってるよ」 「切り換えるのですか?」  さかなくわえねこが聞いてきた。 「ああ」  俺はさかなくわえねこの背中のスイッチを押しながら「すいみんぐねこ」と言った。 「ねこはすいみんぐねこです」  無事切り替わったようだ。
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