桃色の撫子

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 寝室から見える狭い庭の片隅に、桃色の撫子が咲きかけていた。見たところ八分咲きといったところだろう。  「そう言えば、彼女も撫子が好きだと言っていたな……」 と私は呟いた。  庭から見た空は青天で、秋口には珍しく暖かい。こんな日を『はれの日』と呼ぶのだろう。  「おめでとう、香菜(かな)さん」 と空に向かって小さく言って、ふと彼女との時を思った。
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