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女は男と腕を組み、べったりとくっついている。
それでも、見れば見るほど、それは妻の玲子のように見える。
玲子は歩き方に特徴がある。
少し右足を引きずるようにして歩くのだ。
高校生のときに遭った交通事故の後遺症だ。
僕は女の歩き方をよく見た。
右足を……引きずっている。
間違いない!!
あれは玲子だ!!
なんで玲子がこんなところに!?
しかも、あの男は誰だ!?
目の前の世界が急に回りだした。
思考回路なんてまともに働かない。
すぐに走って行って呼び止め、問い質すべきなのかもしれない。
だけど、体がまともに動かない。
何が起きているのか理解もできない。
自分が起きているのか眠っているのかもわからない。
フラフラとした足取りで歩いているうちに、カップルは目の前から消えてしまった。
追いかけようと思っても、もうどこに行ったのかわからなかった。
どうしたらいいのか、僕にはわからない。
とりあえず、会社に戻ることにした。
玲子に電話をかけてみる勇気もない。
かけたところで、どうせ誤魔化される。
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