6人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
これが私と旦那様の馴れ初めだ。
彼は酔った私との約束を覚えていたのだ。
私が35歳になるまでに彼氏が出来なかったら、結婚すると。
そして私の35歳の誕生日になるその瞬間にプロポーズをしに来たのだ。
だから、深夜24時に来たのだ。
誰よりも先にお誕生日を祝い、プロポーズするのだと決めていたそうだ。
それまで、確かにバルでは仲良くしていたし、よく私のことを綺麗だとか好きだとか言っていた。
だがそれはイタリア人の気質的なものだろうと私は思っていた。
後々になって聞くと、あれは本気で口説いていたのだそうだ。
でも私が本気にしてくれないから、35歳の誕生日という約束をしたのだと。
今では笑い話になっている。
そしてこれにはもう一つエピソードがある。
彼があの日に持ってきた花束は、
赤い菊の"蕾の花束"だった。
私は葬式や仏壇に飾るお花としてしか、菊の花を見た事がなかった。
それを大きな花束で持ってきたのだ。
これも後でわかった事だが、ヨーロッパでは菊の花は普通に高級な花として売られているそうだ。
特に日本の和菊は中でも高級品のようだ。
だから、日本でもそうだと思っていたそうだ。
まさか日本では仏花とは思わずに。
これも笑い話になった。
最初のコメントを投稿しよう!