菊の花束

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私の部屋の玄関チャイムが鳴った。 玄関を開けると、スーツをビシッと着た彼が立っていた。 彼はイタリア人。 スーツを纏った姿は映画俳優のようにカッコいい。 普段はラフな格好の彼が今日はスーツを着ている。 「マクシミリアン、どうしたの?こんな時間に」 時間はもう深夜の24時ちょっと前だ。 「遅くにごめんなさい。でも、どうしても今日、  君に言わなきゃと思って」 タドタドしい日本語で一生懸命話す。 彼は、私がよく行く近所のカジュアルなイタリアンバルのオーナーだ。 家が近所だった事もあり、何度か家まで送ってもらった事がある。 イタリアでは、夜道を女性一人で歩かせる事は決してないらしい。 彼がいつもそう言うので、一人で店に行った時は送ってもらっていた。 その彼が今日はスーツで玄関に立っている。 時計を見ながらモジモジしている。 そして意を決したように姿勢を正す。 「あきよさん、お誕生日おめでとう」 そう言って後ろ手に持っていた花束を渡してきた。 そして、膝立ちになる。 「あきよさん、僕と結婚してください!」 そう言って、ポケットの中から指輪を取り出し、私の前に差し出した。
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