バラの王様

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 春になりました。でも、フィオは現れませんでした。  王様は大臣に命じて、国の隅から隅までフィオを探すよう命じました。  早馬が街も田舎もあちこち行きかい、とうとう軍隊まで出動しましたが、見つかりません。  王様はしょんぼりして、フィオの残した植木鉢を見つめています。  心配したお付きの者たちが何とか外の空気に触れていただこうと嫌がる王様を連れ出しました。  とてもお天気のいい3月の朝でした。  広いお庭の一角のあの小さな花壇にはバラのつぼみがふくらみかけています。  フィオが手入れしていたのでしょう。  まだ少し冷たい風が赤いつぼみを揺らしました。
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