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そしてテストを挟んで、少し肌寒い花見にも出かけた。魚釣りが趣味のシュンくんにも同行して、みんなでシュンくんの邪魔をした。梅雨の頃には、昨年のあの痛い思い出も話せるほどになっていた。
「確か去年の今頃、ナオミチがバンドに加わったよね。」
と、シュンくんが言い出すと、
「そうそう・・・加わったその日に・・・アキちゃんを口説いてさ・・・俺たち・・・すげー驚かされたね。」
まさかのふんわりハルトくんの踏み込み発言にみんな笑い、そんなハルトくんの発言にナオが恥ずかしげに言う。
「何、俺の話してるの?俺の話はいいんだよ。他の話しろよ。」
「でもその前に、イケさんがふられてさ。」
いつも鋭さ際立つシュンくんが言うと、
「お前ら、うるせーよ。」
と、すっかり馴染んだイケさんが言う。
「そーだったよね・・・あの日は・・・めちゃくちゃ酔っ払って・・・大変だったね。」
「そうそう。俺ら、送って行ったよね。」
と、シュンくんとハルトくんが話し出して、
「で・・・酔っている間に・・・ナオミチに持っていかれたんだよね。」
とまたハルトくんのふんわり踏み込み発言に、
「ま、それは運命だからしょうがないっしょ。」
とナオがまたナオミチワールドを言い出す。イケさんが、
「お前らって、でも本当に運命だろうね、多分。」
と大真面目に語り始めたイケさんに、声を揃えて3人が言う。
「はい、イケさん残念!」
この時、いつもの定食屋の注文したメニューが運ばれてきた。揚げ物のいい匂いが空腹を刺激する。
「でもさ・・・すごい惹かれ合い方っていうか・・・ホントすごいね。」
とハルトくんが和やかに言うと、
「だろ?運命だったんだよなぁ、これが。俺、会った瞬間にわかったんだわっ。」
と、ナオは相変わらずだ。そしてイケさんが私に訊いた。
「マジすげーって思うけど、やっぱ、アキちゃんも運命って思ったの?」
「うん。」
と言うや否や、きっとすぐに恥ずかしがってしまう私を分かっていて、ナオが言った。
「ま、多少俺が強引だったけどな。」
みんなの笑いが起こると共に、
「やっぱりねぇ。」
「だろうな。」
「そうだと思っていた。」
とそれぞれが言った。ここから見る私の大事な仲間たちは今笑顔で、楽しい幸せな時間を共に過ごしていることは間違いない。
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