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プロローグ
桜も満開を終えて 早くも葉桜になりつつある並木道を歩いて 駅へと向かう。
大学も4年生になると 1、2年生の頃とは違って 履修講義の数も少なくなり、研究課題やレポートなどが主となる。今日の講義も午後からなので、遅めの登校である。
駅に着き、スマートカードをタッチして改札を通る。通るはずだったのに、自動改札機の扉が開かない。
「え、残額はあるはずなのに」
「すみません、この改札機、最近調子が悪いんですよ」
初めて見る駅員さん。見習いバッヂを付けている。新人さんかな?若い男の駅員さんである。名札には"南里"と書いてあった。
「スマートカード、少し借してもらっていいですか?入場処理してきますので」
有人改札に案内され、南里さんを待つ。
「はい、お待たせしてすみません。どうぞ、行ってらっしゃいませ」
爽やかに送り出され
「ありがとうございます」
と会釈をし、行こうとすると
「あ、ちょっとすみません」
南里さんが、わたしの頭に手を伸ばしてきた。
「桜、乗ってましたよ」
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わたしとあなたの出会い
きっと、この時から 私はあなたに恋をしてしまったのだと思う。
"あなたは 気づいてくれるかな?
南里さん 少し わたしと花遊びをしませんか?"
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