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休憩室でお昼のラーメンを食べながら、他の駅で勤務をしている同期に連絡をとった。
“春から別の駅に赴任したんだけど、まぢでしんどい。そっちはどうよ?“
勤務中なのか、休憩時間内で返事は来なかったが、俺は同期の返事に何を期待してるんだろうか……
「午後からは、お前は改札な。オレが後ろに着いてるから、分からないことがあったらその都度声掛けて」
「はい」
「……。それと、今日勤務終わったら飲み行こうぜ!」
と帽子の上から頭をわしゃわしゃされた。
「え?飲みに?」
先輩はニカッと笑っている
「はい、行きます」
改札は自動改札。窓口業務程忙しくはないが……忙しくないはずなのだが……
忙しすぎる!
改札機、絶不調じゃないか。
切符を通しても扉が開かない、切符が詰まる、スマートカードが反応しない。
落ち込んでいる時間がない程に多忙で、気づいたら勤務時間は終わっていた。
「お前、なんか持ってんの?なんか憑いてるとか?」
先輩は疲れきった顔で問いかけてきた
「忙しさ半端なかったですね」
「お前は半日で、改札のエキスパートになったな」
2人で笑いあった。
「よし!飲み行くぞ」
「はい!」
俺は 恵まれている。仕事が出来ない俺のことを悪く言う人達ははいない。きっと俺を成長させてくれる。
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