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香りの良い珈琲で作るカフェオレは,
美桜の心をくすぐる。
両手に収まる程の大きさのカフェオレボウルに,並々とカフェとが注いでくれる。
おかわり用のカフェオレも,
ポットに入れて用意してくれた先生に,
美桜は頭が下がる想いだ。
美桜は,四つ葉のクローバーが施された,見事なまでの懐中時計を開いて見いった。
「そろそろ時間・・・」
時刻は,17時半。美桜は掛けていた眼鏡を外し,指定席から目の前の窓に広がる景色を,ワクワクしながら覗き込み出した。
「また始まりましたね!美桜ちゃんのアレ」
明るい栗色の髪を束ね,デニム地のエプロンを着けたバリスタ修行をする緋南子が,美桜の行動を楽しそうに見ている。
「緋南子さん,君は美桜さんから見たら『先輩』になるのですよ。そう言う事は・・・」
「先生,分かってるって!耳に蛸が出来る位,聞いてます!」
日比野先生のカフェでは,従業員を2人雇っている。緋南子は,カフェの裏側付近にあるシェアハウス『満 福 荘』で暮らしていながら,バリスタの勉強を日夜行う努力家だ。
もう1人は,近くの高校に通う男子高校生の慎之祐『シン』がアルバイトをして切り盛りしている。
日比野先生をいれたブックカフェ『ソレイユ』の3人が,美桜の秘密を共有する仲間になった。
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