救いの女神はお嬢さま

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「ではなく。異性として,美桜ちゃんはバイトさんの事,見られますか?」 再びの問いに,無言が続く。 「シンくんは『男の子』ではあるけど,心に何も『響かない』」 そう答えると・・・ 「報われないですね・・・」 と,ボソッと呟いた。 「ぶぁっくしょん・・・! 誰だよ,オレの噂をしているヤツは。 オレは何時でもウエルカムだぜ(笑)」 大きなくしゃみをしたシンを,緋南子がどついた。 「な~にすっとぼけているの!慎之祐の噂をする天然記念物,居ないわよ!ごみ捨てとテーブルの拭き上げ,終わってないぞ!」 「了解っす,姐さん!」 「お止め!慎之祐。その名前を,お客さんの前で言ったら・・・」 「りょ,了解です。緋南子さん!」 半ば脅しに近い言葉を緋南子が言うと, シンは得体の知れない恐怖に襲われる。 「宜しい。さっさと片付けたら,珈琲ご馳走してあげる!」 「本当ですか?急ピッチで片付けだ!」 嬉しそうに駆けていくシンの,後ろ姿を眺めながら,日比野先生がため息をつく。 「・・・前途多難な気がします」 「先生,慎之祐の前では,絶対言わないで。美桜ちゃんは元々ある(・・)筈のモノが,今は無いに等しい。 底の底にある僅かなモノが,多少残っているだけの状態。慎之祐の『想 い』すら気づいてない」 その一方で, 「美桜ちゃん,今度の日曜日に,我が家で母がパーティーを開催するの。どうしても,美桜ちゃんとソレイユの『皆さん』にも来て欲しいって」 葉月はカバンの中から,薄いピンク色の便箋から,お手製のチケット4枚を渡した。
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