9人が本棚に入れています
本棚に追加
贈り物探しが恋のはじまり
「どうしようかな・・?」
美桜は困っていた・・・葉月の母『若葉』さんが主催するパーティーは,普通の人が集まるモノではない。
日曜日の昼間だ。
必ずおじさんもいる筈だし!
若葉さんは,お宅にお邪魔する時は,『何も持って来なくてもいいわ~』っていうが,そんな訳にもいかず。
「お待たせっす」
振り向くと,黒のデニムに明るい緑色のパーカーを着込んだシンが,美桜の元にやって来た。
「シンくん。今日お休みなのに,ゴメン!」
いつもはソレイユでしか逢わないのに,
それ以外で逢うのは,滅多にない。
「良いっすよ!ツレたちと居るより,マシっすからね。美桜さんに呼ばれるなんて,滅多にないですから」
嫌がるどころか,寧ろ喜んでいる。美桜は眼鏡を拭く仕草をしながらシンを視ると・・・
「恋の花が咲いてる」
濃く鮮やかなピンク色が,半径1メートル以内に舞い落ちる。
「やっぱり,眼鏡をしていない美桜さんの方が,めちゃくちゃ良いっすね。もっ,勿論眼鏡を掛けていても・・可愛いっす」
最後の方になると,声が小さくなっていく。
「えっと~,今回シンくんに来て貰ったのは,ワタシの友だちのお母様が開くパーティーで,手渡すモノを一緒に選んで欲しくって。
その日は,友だちのお父様もいらっしゃる筈なの」
「そうでしたか。友だちって葉月ちゃんでしたよね!どこかの社長令嬢でしたっけ?」
「うん。K-コーポレーションっていう総合商社のね」
最初のコメントを投稿しよう!