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心配した日比野先生は,『美桜さん,どうしましたか?』と聞くも,
美桜は不安がらせてはいけないと思ったのか?『何でもありません』と無理やり笑いかけた。
その日から,美桜の『視える』日々が始まった。
行き交う人々の,様々な色が周りに溢れているのを,美桜は戸惑っていた。色が視える事で,美桜本人が特に変わる訳ではない。
確かに,行き交う人々の全てがキラキラしていない。一部の人たちだけだと,美桜は考えている!
明るく煌めいている人もいれば,多忙そうな人は,くすみがちな色が顕れやすかった。
もっと酷いのは,身体の色んな『部 位』に顕れる『真っ黒』な『なにか』だ。
この正体が『感 情』だと知るのは,もう少し後の話になる。
美桜が抱えてしまった問題が,美桜本人を引き籠りの道へと走らせてしまった。
誰にも言えない秘密を抱え,引き籠ってしまう娘を,父親は大層心配した。
大好きだった本を読む気力も芽生えず。美桜の小さな部屋は,美桜を護る砦となり,小さな世界となった。
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