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明日
あの街路樹にも記憶がある。
誰にも見られずに花は枯れていく。
影は長く、明日の方角までのびている。
その根元にわたしという名前がある。
空回りするペダルの音がうるさい。
忘れてしまいたいことがあった。
靴底で足音という足音をふみならす。
青空というさみしさに甘えていただけだ。
公園のブランコがひとりでにゆれる。
これを吸いおわったらけえるのだと
老爺がくしゃくしゃの吸い殻を咥えている。
けれども明日がまだ、追いついてこない。
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