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第五話 結婚相手
アイリーン「悩める女子高生を解決するこのコーナーです。お名前と学年をどうぞ」
「佐藤詩織(仮名)三年生です。」
キャット「お悩みをお聞かせください。」
佐藤詩織「最近告白を受けたんですけど、結婚相手をお金で選ぶのは汚いでしょうか。私には好きな人が居ればそれだけで幸せ、って思える人が理解できません。それだけに相手が低所得者で満足な生活が期待出来ないと思うだけで相手を振るのは悪い事でしょうか。少なくとも私と同等、それ以上の収入を望みます。やはりそう思ってしまうのは最低な事でしょうか。お金持ち代表のアイリーンさん、お金のないキャットさんの意見をお聞かせください。」
キャット「お金がない代表って・・・・失礼過ぎるだろ。うーん、よくあるお金を取るか愛を取るかっていう問題だよね。でも彼女の場合、もうお金を基準に考えているからもう一択なんじゃないかな。お金を取りなさい。世の中金よ、金。」
アイリーン「しおりんはさ、告白をしてきたひとって低所得者になるってわかるの?」
佐藤詩織「はい、実は告白してきたのは岸くんで・・・・岸君って貧乏家庭で有名じゃないですか。なんだか制服もいつもみすぼらしい感じだし・・・・」
キャット「なるほど岸君か、岸君なら将来貧乏かもしれないねー。これは振った方がいいよー。解決。」
アイリーン「なんかわかった気がする、しおりんはさ、岸君の事は好きなの?」
佐藤詩織「・・・・・実はそもそもあんまり好きじゃないです。」
アイリーン「だったらさ、もし岸君がお金持ちだったら付き合うの?」
佐藤詩織「それもちょっと、厳しいかもしれません。」
アイリーン「どんなにお金持ちでも抱けるお顔を持ってないとなかなか付き合う事は難しいよね。顔も大事なのよね。」
佐藤詩織「今思うとそうかもしれません。」
キャット「金で結婚したい、って思っているけどそもそも恋愛経験が少なくて燃えるような恋をしたことが無いからそう思うだけで、実際は金が関係なくなるような恋をしてみたいってことね。」
佐藤詩織「そんな恋愛ありえませんから!」
キャット「こんな現実主義の佐藤詩織をときめかせる男子!今こそ立ち上がれ。全日本で募集中だぜ!」
アイリーン「誰に言ってるの?」
キャット「視聴者!」
アイリーン「なんのことやらこんな茶番は置いといて。やっぱり、お金お金って理由にしているけど岸君って優しいからしおりんの中で傷つけたくない気持ちがいっぱいでどうにかやんわりと傷つけないように岸君に好意が無い事を伝えたいってことね。」
佐藤詩織「その通りです・・・・」
キャット「なーんだ。結局金も気持ちも無いってことね。いかに傷つかずに振れる言葉があるか私たちに聞いている感じだ。」
アイリーン「その気持ちが最低なんじゃないかなー。自分の言葉でちゃんと伝えた方が岸君にとってもしおりんにとっても意味があると思う。」
佐藤詩織「でもそれを解決するのがこの相談所じゃないですか。」
キャット「確かに一理ある。今は恋愛に集中できないって言葉が良いんじゃないかな」
アイリーン「それ余計に傷つくやつ。」
キンコンカンコーン
アイリーン「判決が決まりました。あなたは今日から”仮言葉 イウノカ”です
」
佐藤詩織「・・・・・・」
キャット「なるほど、本仮屋 ユイカ に掛けて仮言葉 イウノカ」
アイリーン「え?本仮屋ユイカ?存じ上げません。私は宇宙の言葉を聞いてただそれに従ったまでです。」
キャット「ああ、そういう ”てい” ね」
アイリーン「”てい”って何?」
後日放課後___________
相談者と告白者と思われる人物が教室に残っていた。
あの!
といって、佐藤詩織は自分の席を立って岸君のもとに走っていった。
佐藤詩織「一晩考えたけど、やっぱり岸君の事好きになれない。ごめんなさい。だから気持ちは受け取れない。」
岸君はショックを受けた顔を一瞬したが笑顔でこう答えた。
岸君「薄々勘づいていた、告白した時にかなり戸惑っていたもん、あれは好きって感情の戸惑いじゃない。だけど、ちゃんと自分で考えて直接早い段階で答えを教えてくれたくれたのは本当嬉しい。ありがとう。告白したことによって詩織さんを困らせてしまっていたのなら申し訳ない。こちらこそごめんなさい。」
教室の扉の隅からキャットとアイリーンは覗いていた
キャット「やっぱ自分の言葉で伝えるってのが大事だよね。岸君もめちゃくちゃ優しい回答するじゃん。私が惚れちゃいそう。」とキャットは目をキラキラちらつかせていた。
アイリーン「じゃあ、付き合っちゃえば?」
キャット「見た目が無理。」
アイリーン「お前最低だな。」
キャット「だって大事じゃん」
アイリーン「確かにね」
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