逆転結婚～醜い私と美女の私～

私と結婚して下さい

　
　それは春から新緑の季節に入る頃だった。

　突然の結婚申し込みから始まった。
　その申し込みで人生が大きく変わって行ったのは間違いない。

　始まりは一本の電話。
　携帯電話にかかってきた見知らぬ番号からの結婚申し込みだった。

　田舎でもない都会でもない、どこにでもあるごく普通の街並みが広がる光夕市（こうゆうし）。

　駅前は人が多く行き交う姿で賑わっている。
　大手ショッピングモールも建っているため、他の地域からも人がやって来て出入りも多い。

　電車も行き交い駅前にある大きな金色の時計台は、待ち合わせの場所でよく使われいつも大勢の人が集まっている。

　駅へと繋がっている大きな歩道橋は、自転車も通れるようになっていて、歩道橋の上から見下ろす線路は複数の電車が行き交い見ていても飽きないくらいである。

　そんな駅前に集まっているオフィスビル。
　その一角に１０階たての自社ビルを構えている沙原（さはら）コンサルティング会社。
　日本だけではなく海外にも支店を構えている大手企業である。

　外壁はオシャレなピンクっぽい明るい色で、1階はエントラスになっていて受付があり若い受付嬢が2人いる。

　２階から５階まではレンタルルームとして、必要な人に使ってもらっている。
　５階から８階までは各部署の事務所が入っていて、広々とした空間で仕事をしている。
　９階は会議室や来客室になっていて、少し奥側に社員達が休憩するカフェテリアが広々と作られている。
　社員食堂のようになっていて、ランチタイムには日替わりランチや軽食が作られている。
　オシャレな空間にカフェもあり、世界各国の珈琲や紅茶が楽しめるようになっている。
　最上階の１０階には、社長室と副社長室があり、高級マンションのような空間でゆったりと仕事をしている。
　ガラス貼りの空間が多く、その戸景色は遠くまで見ることができ駅前の人の行き交う姿も見下ろせる。
　壁は落ち着く茶系で、ソファーは高級素材の黒系、テーブルは落ち着く茶系の木材でしっかりとしたつくりの物である。
　テーブルの上には可愛いお花が毎日生けてある。