それ反則! 真琴編

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それ反則! 真琴編

今日は土曜日。 久々に先輩と朝からデートの日で、先輩が車で家に迎えにきてくれる。 そのかわりに先輩には内緒で俺が弁当を作った。 喜んでくれるかな? ーーポロンーー 真琴のスマホにメールが届く。 あ!先輩からだ! 『マンション下に着いた』 ただそれだけのメールなのに胸は高鳴り、早起きして作った弁当と鞄を持ち、そして姿鏡で今日何度目かのチェックをしてから急いで恋人(・・)の車へと向かった。 「おはようございます!」 助手席に座わりいつものように挨拶すると、 「おはよう真琴」 運転席の隼人サンがニコッと笑ってくれ、胸がくすぐったくなった。 今日はデートだから『柊』じゃなくて『真琴』って読んでくれるんだ。 嬉しすぎて顔がにやける。 「それで、今日はどこに行きたい?」 デートの時、いつも隼人さんが言うセリフ。 そして俺ははいつも 「先輩の行きたいところ」 と答える。 だって隼人さんとなら、どこでも楽しいから。 「じゃあ今日は水族館に行きたいな。イルカショーが新しくなったみたいなんだ」 スマホで検索したイルカショーの画面を俺にも見えるように、隼人さんが真琴に近づける。 わ〜やばい。 先輩のいい匂いがする…。 隼人が何やら水族館やショーのことを話しているが、真琴の頭に全く入ってこない。 「真琴聞いてないだろ」 口を少し尖らせた隼人が真琴を睨むが… あー可愛い。 キスしてー。 でも我慢だ! 「聞いてますよ。ショー楽しみですね」 そっと真琴が隼人の手を握ると、隼人の顔が真っ赤になる。 本当に可愛い。 ここ死角になってるよな。 ちょっとぐはいなら、抱きしめてもいいよな。 真琴が隼人の方に近づくと、隼人が急に体を少し離し周りを気にするように当たりを見渡した。 そっか…。 やっぱり人には見られたくないよな……。 「すみません」 より隼人から体を離そうと真琴がした時、ぐっと隼人に体を引き寄せられ、 え? えーーーー!? 真琴の頬に隼人が優しくキスをした。 「急に手、繋いでくるなんて反則。キス(これ)は仕返しだからおあいこな。あ、運転中は邪魔するなよ」 車にエンジンをかけた隼人だったが、耳まで真っ赤だ。 !!!! ほっぺにチューって!! それこそ反則!! この抱きしめたい気持ち、どうしたらいいんだよーー!! 真琴が隼人の方を見ると、 「運転してない時は…いいから、な…」 自分で言っておきながら、隼人の頭から照れすぎて湯気が出そうになっている。 あー、もー、可愛いから許す!! 真琴は助手席で悶えた。
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