それ反則! 隼人編

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それ反則! 隼人編

今日は土曜日。 久々に真琴と朝からデートの日で、俺が車で迎えに行く。 服装これでいいかな? ロングガーデに大きめロンT、ジーンズ……。 やっぱり若作り? でも真琴26歳だし、30歳の俺もまともな格好しないと、真琴が恥ずかしい思いするだろうしな。 今日はこれで行こう。 それで今度のデートで真琴に服選んでもらおう。 って、今日のデートもまだなのに次のデートの事考えるなんて、俺どんだけ真琴とデート行きたいんだよ! あ!こんな時間! 真琴ん()行かないと! 急いで隼人はマンションと車の鍵を持って部屋を出て、真琴のマンションに向かった。 なんとか時間通りに着いた。 年上らしいメールを送るぞ。 『マンション下に着いた』 簡潔なこのメールどうだ? もうちょっとデート楽しみにしてた感出した方がいい? いやー、それはそれで恥ずかしいしな… と、色々考えている間に、 あ!! 指が送信ボタンに当たり、隼人はメールを送ってしまった。 あ〜、もっと気の利いた言葉、送りたかったんだけどな〜。 次からは気をつけよう。 「おはようございます!」 しばらくすると隼人の車に駆け寄ってきた真琴が助手席に座わり、いつものように挨拶する。 今日も爽やかイケメンめ。 テーラージャケットに白シャツ。 あれはスラックスパンツっていうのか? この前雑誌に書いてあった『キレイめカジュアル』ってやつか。 あんなに普通に着こなしやがって… 絶対言ってやんないが、かっこいいな。 それにその白い歯はホワイトニングしてるのか? 光り輝いてるぞ。 「おはよう真琴」 運転席の隼人がニコッと笑うと、嬉しそうに真琴も笑う。 「それで、今日はどこに行きたい?」 デートの時、いつも隼人が言うセリフ。 そして真琴はいつも 「先輩の行きたいところ」 と答える。 「じゃあ今日は水族館に行きたいな。イルカショーが新しくなったみたいなんだ」 この前真琴、魚が好きって言ってたから今日は水族館に行きたいなって思って、色々調べたのが役立ちそう。 得意げにスマホで検索した画面を真琴にも見えるように、隼人は体を真琴に近づた。 「ここの水族館リニューアルしたみたいでさ、イルカ達凄いショーしてくれるって評判みたいだぞ。技も色々できるみたいで……」 ふと隼人が真琴の方を見ると全くスマホの画面を見ずに隼人ばかり見ている。 「真琴聞いてないだろ」 俺の方ばかり見ずに、イルカ見ろよ。 口を少し尖らせた隼人が真琴を睨むが、真琴は隼人の顔を見てさらにニコニコするばかり。 「聞いてますよ。ショー楽しみですね」 そう言いながらそっと真琴が隼人の手を握ると、隼人の顔が真っ赤になる。 ちょっ!なにやってんだ、アイツは! ただでさえイケメンなのにそんな急に手、繋ぐなんて反則だろ!? 隼人の心臓がドキドキ高鳴る。 そんな事されたらキスしたくなるだろ!? 俺、真琴のことになると我慢がきかなくなるんだからな! 分かってしてるのか!? 真琴が隼人の方に近づいてくると隼人の鼓動はさらに早くなる。 やっぱりキスしたい。 でもここは外だから唇はダメだけど…、頬ならいい? 頬なら外から見えても顔を近づけて話してるぐらいにしか見えないか。 それに反則してきたのは真琴の方だ。 ちょっとぐらい反撃してもいいだろう。 隼人は真琴から体を少し離し周りに人がいないか確認をした。 よし誰もいない。 「すみません」 真琴が悲しそうに謝って隼人から体を離そうとしたのを、隼人はぐっと体を引き寄せ、真琴の頬に優しくキスをした。 これは仕返しだ。 でもキスできて、ちょっと嬉しい。 外のデートも楽しいけど、なかなか触れ合えないから車の中ぐらいはいいよな。 チラッと隼人が見ると、真琴は驚いて目をパチクリさせている。 そんなに驚くなよ。 なんだか照れるだろ! 「急に手、繋いでくるなんて反則。キス(これ)は仕返しだからおあいこな。あ、運転中は邪魔するなよ」 車にエンジンをかけた隼人だったが、耳まで真っ赤だ。 やっぱりやりすぎたか? でもしたかったんだからしかたないだろ!? 真琴がイケメンなの悪いんだ。 …好きだけど…。 あ、でもこんな事したら、今日真琴から触ってもらえなくなる? それは寂しい。 ここは言うべき事は言っておかないと。 真琴が隼人の方見た時、 「運転してない時は…いいから、な…」 あー言ってしまった!恥ずかしい! でもこれで真琴の方から触れてくれるかな? 自分で言っておきながら、隼人の頭から照れすぎて湯気が出そうになっている。 今は運転に集中! 途中どこかで休憩するんだったら、その時こそ甘えよう。 隼人ははやる気持ちを抑えつつ前を向いた。
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