ポチの愚痴

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ポチの愚痴

「そもそもね、人が善すぎるんですよ!」  場末の居酒屋に移動してカウンターに陣取ると、ポチは早速ビールを片手に語りだした。 「生活が立ちいかないから僕も捨て身で神通力使って小判堀り当てさせてるんですよ! それなのに、あの人たち宵越しの金は持たないんです。堀り当てたそばからごちそう作って村の人に分けちゃうんです!」 「わかるわかる。汝の隣人に与えよってやつな!」 「それだけでもかなりのパワーつぎ込んでるんですよ、こっちは!」 「小判だって無尽蔵に湧かせられるもんじゃないからな」 「それなのに僕そのあと、隣のくそジジイに拉致されたんです。普通飼い犬が連れていかれたら取り返しに来ませんか?あの人たち、僕が酷いことされるなんてこれっぽっちも想定してないんですよ!」 「ああいう人たちってみんな共通して、人を疑うってことをしないんだよな」
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