瓶詰めの新天地より

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1つめのカプセル  当機は無事、順調に目的地へと航行している。我々が新天地の土を踏む日は近い。 2つめのカプセル  発進準備中、エイリアンに妨害される。犠牲を顧みず作戦を強行。我々はこれより新天地へ向けて進路を定める。 3つめのカプセル  私達は彼らを侮っていたのだろうか。やむなく惑星ステリアの平原に不時着。このままでは我々は故郷の土を再び踏むこと無くこの星で朽ちていくほか無い。SOS。SOS。わずかに生き残った仲間が届かないであろう救難信号を発するのを聞きながら、私はこの日記を書き残す。  もはやこの銀河に、私達の降り立つべき新天地などなかったと、与えられた地で滅び行くしかなかったと、それが真理だとでも言おうか。  くそ、目的達成まであと少しだったというのに。せめて、どうかこのメッセージが無事地球に届くことを願う。宇宙に救いは無い。地球に未来は無い。楽園はステリアに無い。 4つめのカプセル  宇宙船が安全に発進できない。燃料、部品、外装、何処を見ても原因を特定できず。今朝方から宇宙船の周囲をステリア星人とみられる一団が取り囲んでいる。平和的交渉を試みるが、私達の訴えが聞き入れられる保証は無い。  万一の場合、安全を保証できずとも無理矢理にでも発進しこの星から離脱しなくてはならないかもしれない。 5つめのカプセル  ステリア星人の手を借りて宇宙船内の不調を処置。万全にはほど遠いものの、一通りの機能は取り戻すことが出来たと言う。今は彼らを信じるほか無い。 6つめのカプセル  ステリアでの調査は、想像より遙かに順調に進んだ。原住民との関係は良好、地球人はステリアに文明を、ステリアは地球に新たな土地を提供する互恵関係が成立。  彼らは熱心に我々の知識を吸収し、驚くほどのスピードで文明を身につけつつある。彼らは生活様式に見合わず知能が高いと考えられる。これなら移住してきた人々と彼らが対立することも無いだろう。  彼らステリア星人と私達は、良き隣人となれる。 7つめのカプセル  本日、惑星ステリアに調査の拠点を設立。磁場の変化により通信機器が不安定なため、簡易的な報告書をカプセルに入れ定期的に地球へ送る。  この星には生命活動に必要な水や植物、狩猟可能な獣も存在し、気体組成も比較的地球に近く地球生命の移住に適した星である可能性が高い。  この星の生態系に関しては引き続き調査を行う。それと同時に原住民とのコンタクトも継続して試みる必要がある。
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