瓶詰めの新天地より

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 最初の2つのカプセルに入った手紙では必要最低限のことしか記録していなかったのが、途中からまるで別人が書いたように饒舌になっていく様は、調査員達の感情を如実に語っていた。初めて新天地の土を踏んだ際の不安と、原住民と友好関係を結べた喜び。 これらの調査書を根拠に、惑星ステリアが地球人類の生存に適した環境であり、加えて先住する知的生命体が友好的かつ私達の移住に好意的であるということが、メディアに向けて大々的に発表された。  加えて今日、宇宙船から地球へ向けてメッセージ信号が届いた。宇宙船が一時帰星のため、地球へと発進した証拠である。何故かテスト送信の際よりもノイズの混じるその信号は、それでも確かにこう綴られていた。 「ワレワレハ シンテンチデノセイカツヲ カナラズカチトル」  人類は新たな居住地の開拓に胸をなで下ろすと共に、調査員の一時帰星の際にもたらされるであろう更なる情報に……今はまだ遠い新天地にいるであろう新たな隣人の姿に、胸を躍らせるのだった。彼らの顔を直接見られるのはいつになるか分からないけれど、一日も早く会ってみたいと、誰もが未来を待ち望んでいた。
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