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それから数ヶ月間平穏な時間が過ぎた。
言葉がなんとなく通じるようになるとわたしは今までの事を彼女に話した。
彼女は大いに驚きながらも少し同情して慰めてくれた。
わたしはようやく誰かと通じ合えた喜びを噛み締めて初めて眠りについた。
しかしその次の朝、起きてみると周り一面が焦土と化していた。
おそらくとてつもない出力の遠隔魔法により私が住んでいる場所ごと攻撃を受けたらしい。
わたしは気がつくのが僅かに遅かった事を悔やんだ。
勇者は死んでしまった。
私は異世界に来てから初めて本気で地面を殴りつけた。
それによって、起こった衝撃波でその星の大国と同等の面積が全て吹き飛ばされ、空に暗雲となって広がった。
それによって、長い間降り注いでいた恒星からの光が遮断され急速に氷河期を迎えるとまたたくまに生物は死滅していった。
わたしは凍りついた世界でも痛みを感じる事なく、荒廃した星のおどろおどろしい空はまるであの時の自身の心境をそのまま投影したかの様だ。
もはや私に寄り添う命の影もない。
肩を双べる者の無き異世界でふと思った。
私は死ぬ事があるのだろうか?
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