パンドラ

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パンドラ

仕事で訪れたミャンマーの山奥に人里離れた集落がありそこにいる人もあまり近寄らない方が良いと噂する自称魔女の老婆が住んでいた。 私は好奇心から人々制止を振り切って一人で老婆に逢いにいくと思いの外歓迎してくれて人々がいうようなおかしな人ではないと思う様になった。 老婆が出してくれた食べ物は少し匂いが強く味に癖があるものの絶品のジビエと言えた。 それから何日か通っているうちにすっかり仲良くなったがそろそろ日本に帰らなければならないと言う日に不思議なお土産を貰った。 古い木の箱なのだが中には猿の首のミイラが入っていると言った。 そんな気味の悪いものは欲しくないと言ったがなんでも願いが叶う箱だと老婆は真剣な顔で告げた。 「願いって三つ?」 「そんなわけないじゃろ、ひとつじゃよ、叶えたい願いを何回も繰り返すんじゃ、想いが届けられたら合図があるはずじゃ」 「合図ってどんな?」 「合図は合図じゃ、ただし時を遡らせたいという願いは無理じゃぞ」 そう言って皺くちゃの笑顔をつくった。 とりあえず旅の土産と土産話を両方手に入れた私は断る理由もなく受け取って日本に帰国した。
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