人類補完教会

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「こ、これは私の職務の範疇じゃない、応援を呼んでくるので待っていてください!」 やおら物陰から出てきた警官が信者の男に言ったが信者の男は目を丸くして何か言おうとした。 「でるな!」 信者の男が何かを言う前にみすぼらしい男は叫んだ。 「いいか、俺の許可なくこの教会を出たやつがいたらその場で爆発させるからな」 その場にいた数名の信者が短く悲鳴を上げた。 「お、おちついて!」 信者の男は叫んだ。 「おお、ようやく本当の言葉っぽくなってきた」 「待ってください、何が望みですか?」 「あの女は?」 「女?」 「俺の家族をたぶらかした女がいたろ?」 「今はショックで療養中です、彼女が目的なら」 「目的ならなんだ?」 「彼女の居場所を教えます」 「おやおや、それが本心か?」 「ここにいる何の罪もない信者たちを救うためなら仕方ありません」 「また空々しい事を、、、心配しなくても教会と本当に関係のないやつは帰っていい、ただし本当の事を言ったらだ」 「わ、私は関係ない!」 真っ先に警官が叫んだ。 「ちょ、」 信者の男がまたなにか言いかけるのをみすぼらしい男が制止した。 「まてよ、警官の言う事をきこう、家族はいるのか?」 「いる!私が死んだら家族が路頭に迷う!見逃してくれ!」 「あんた!それでも警官か!」 信者の誰かが叫んだ。 「何言ってる?今彼は本心を言っただろ?祝福してやるところだろ?なぁ」 みすぼらしい男は信者の男をみてワラッタ。 「あの、じゃあ」 警官は恐る恐る男の顔を見た。 見窄らしい男は行っていいというジェスチャーをした。 「あ、ありがとうございます!」 そういうと警官は扉に手を掛けた。 「あ、そうだ」 男の声に警官はピクリと肩を震わせた。 「な、なんでしょう?」 「扉はちゃんと閉めろよSATに狙われたらかなわんからなぁ、あと俺が変な倒れ方しても爆発する事を伝えとけ、せいぜい倒れない撃ち方を考えるんだなぁ」 「、、、はい」 警官はそれだけ言うと出ていった。 「わ、私も関係ありません!私にも家族がいます!どうかご慈悲を!」 「な!司教!わたしにも家族がいるんですよ!」 「うるさい!お前みたいな不埒な輩と一緒にするな、お前はあの女とできてたんだろう?だから過剰防衛したんだ!」 「な?なにを言い出すんです?落ち着いてください、司教、これは教会の威信に関わる問題です」 「やかましい!お前のような悪しき信徒のせいでこうなってるんだろうが!」 「悪しき?あんただって教会の金を使い込んでるだろ!」 口々に悪口(あっこう)を絞り出す信者達に目を細めながら 見窄らしい男はケタケタと嗤っていた。
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