記憶の行方

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 それは、翌朝のことだった。  瑠衣は、突然発狂した。奇声を上げ、サクヤの襟元を掴んで揺さぶった。 「どうして。どうしてこんなことになるの? ねえ、サクヤ。私が……私が! ねぇ、サクヤ! 教えてよおぉ! 私、わたし、どうしたら良かったの? どうしたら良いの!?」 「瑠衣! 落ち着いて! 瑠衣、大丈夫だよ。大丈夫だから。俺が一緒にいるから!」 「サクヤぁぁ!! 私も死にたい! 殺してよ。サクヤ、助けてよ」  瑠衣の混乱は、止まらない。 「私が悪いのっ。私が……!」 「瑠衣……」 「お願いサクヤあぁ。助けてっ」  サクヤは、悲痛に顔を歪める。  揺さぶられるままに瑠衣の気持ちを受け止める。  そして 「瑠衣……。分かったよ。分かった。俺が君を救うから。だから、目を閉じて。楽に、してあげるから」    そう言って、サクヤは瑠衣の首を両手で包んだ。瞳から一筋の涙が頬を伝い落ちる。  そのサクヤの行動を見て、瑠衣は揺さぶっていた手をぴたりと止め、静かに微笑む。 「サクヤ……。ありがとう。愛してる」  サクヤは、透けるように白く美しい首筋を包んだ両手をそのままに、瑠衣の艶やかな唇に自身の唇を重ねた。 「瑠衣。俺も、愛してる。ずっと。俺が瑠衣を守るからね」    そうして、片方の手を瑠衣の頭にずらし、優しく包んだ────。
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