記憶の行方

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 そしてまた  瑠衣は、目を覚ます。記憶の花を閉じたまま……。 「おはよう、瑠衣」 「あなた、誰ですか!?」  いつまで続くのだろうか。この、二人の苦悩の旅は……。  だが、サクヤはまだ気付かない。  瑠衣は、サクヤの頭部に触れることで記憶を取り戻しているという事に。  瑠衣が持つ記憶を辿る能力が、いつの間にか花開いていた事に。  今朝も、瑠衣は愛しさのあまり眠っているサクヤの頭に触れたのだ。  状況は違えど、もう何度も同じ事が繰り返されている。    瑠衣はサクヤの側にいる限り、そしてサクヤを愛してしまう限り、過去を思い出してしまうのだ。 「俺は、サクヤ。君の幼馴染みで、恋人だよ」  そう言って、サクヤは微笑んだ。  ほんの数日の間だけでも構わない。    “どうかこの二人に笑顔と幸せを”    そう、願わずにはいられない。
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