忠犬だけど嫌なこと

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突然ではあるが、もうすぐ某はこの犬生に幕を下ろすだろう。つまりはのだ。 重苦しい話から入って申し訳ない。しかしこれが現実だ。けれども某自身、この死を悲しくは思わない。本当に全く悲しくないのだ。 視界が段々と霞んできた。耳も遠くなって体はもう起こせない。本当に死はすぐそこらしい。そんな中で、眩しい日光だけが某の視界を照らす。一筋の眩い光が某を包む。暖かい。まるで楽しかった日々に戻ったような感覚だ。この感覚を感じられるここが某の特等席。窓際に伏せてただボーッと環境音を聴きながら一日を過ごす日々が続いていたが、数年前までは違った。まるでのような輝かしい日光を感じながら最期に思い出に耽けるとしよう。 こんな老いぼれになる前までは、某は優秀な忠犬だった。我ながらそう思えることを誇りにしている。遡るは御主人様との出会いの日。保健所の冷たく暗い檻に入れられてから、早5日が経とうとしておった。
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