愛情、情熱、添え物の園へ

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 何が悪かったんだろう。  どうやら猪か鹿かに畑を荒らされたようだ。  野生動物対策をする必要がある。  僕は近所の農家さんを頼り、動物対策を学んだ。  ふと、農家さんに摘みたてのパセリを貰えば、そこで目的を達成するのではないかと思ったが、事はもうそんな段階を既に過ぎ去っている。僕がパセリを育てないと、何の意味も無いのだ。  畑の周りを柵で囲い、電流が流れる鉄線も仕込んだ。野鳥対策に、目玉の模様の入ったバルーンも飾った。  もう少しだけ待っていてほしい。  僕は妻に懇願した。  妻はもう何も言わずに、ただただ微笑んでくれていた。  しかし種を蒔いて1ヶ月、直撃した台風の影響で、パセリの苗は全て吹き飛んでしまった。
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