After story/陽の光の下

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手が震えて上手くジッパーを下ろせない。 ただ服を脱ぐだけなのに、こんなにも時間がかかるだなんて。 その間もアルの視線が刺さる。 見えていないはずなのに、見られている気がして ならない。 やっとの思いでジッパーを下ろして肩を外すと ワンピースがすとんと床へ落ちた。 静かな部屋に音だけがよく響く。 「おいで。」 そうアルが優しい声で導く。 躊躇いながらも近づくと、ふっと笑いを零した。 「下着は脱がないの?」 「どうして…」 どうして下着をつけたままのが分かったのか聞く 前に、アルの指先がお腹の辺りに触れる。 「分かるよ。君が今どんな姿で俺の前に立っているのかも、どんな顔をしているのかも。」 きっとアルには分かって見えているんだ。 そう考えたら恥ずかしさのあまり顔が熱を持つ。 ツーッと肌の温もりを求めるように手が滑る。 その度に私は体を震わせた。 アルは丁寧に丁寧に触れていく。 そして最後には器用に下着を取り去ってしまった。 初めてのことではないのに、緊張から息が詰まる。 「Iris」 愛おしそうに名前を呼ばれてグッと引き寄せ られる。 反動でそのままアルに覆い被さるようにベッドに 沈んだ。 ピッタリと合わさる体。 アルの体温が直に伝わって泣きたくなる。
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