目があった。

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目があった。

 一週間後の約束の日の朝。時計の針が午前四時を指したところで、ふと物音に目を覚ました。  日は昇っておらず、部屋は薄暗い。  その中で物音などするものだろうか、とさっきまで眠っていたはずの頭に疑問が浮かんだ。  ――何か、高い金属音のようだったが……。  一人暮らしのため、誰からが部屋にいることなどありえない。  そもそも寝室は趣味で集めた小物すらも置いていない殺風景な部屋なのだ。ものが落散るとしても、ベッドサイドテーブルの目覚ましくらいだろう。  薄暗い部屋の中で確認したが、それらが落ちている様子もない。  扉が開いていることもなければ、窓も閉め切っている。カーテンから差し込む街灯の光だけがただ揺れていた。 「……」  しばらく待ってみたが、もう音が鳴るようなことはなかった。  ――ただの空耳かもな。  そう思ってもう一度寝直そうとするが、ふと右端に光がチラッと見えた。 「……光?」  延長コードのスイッチだろうか。しかし俺の使っている物はオレンジ色のはず。  気になって眠れないのもいやだ、とベッドから降りて、光の方へ近づいてみた。 「ん?」  それはスイッチではなく、何かの穴。ずいぶん深く掘られたようで、風が拭いてくる。  俺はそれを、何気なくのぞき込んでしまった。 「!?」  思わず後ずさった。だけど、行動とは裏腹に俺の心臓は高鳴っていた。  でも仕方ない。だって。 「……今まで見た中で、一番綺麗だ」  美しくも醜い感情を燃やす、茶色い目がこちらを見つめていたのだから。
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