番外編 僕とあいつのいちゃバリな日々 7

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番外編 僕とあいつのいちゃバリな日々 7

 ウブドでの日々は、その空気や天気と同様にしっとりと過ぎていった。今の季節はバリの雨季にあたる。海辺ではたまにスコールに見舞われるぐらいで、雨季を感じることはなかったけど、ここでは日本の梅雨のようにしとしとと降る日もある。  そういう時はどこにも出かけず、ずっと部屋で雨に濡れる緑を見ていた。それでも全然飽きないんだ。  佐山はモバイルをテーブルに置いてギターを奏でていた。ここにきてずいぶん作曲が進んみたい。 「光に溢れた海のリゾートと雨に濡れる緑の森。まるで動と静だな」 「作業、進んでるみたいだね。良かったよ」 「うん? 遊んでるばかりで心配だったか?」 「そんなことはないよ。僕も遊んでばかりだったし……」  僕はそう言って床に転がる。ウブドではヨガのトレーニング場もあって何度か行ってみた。やってみると楽しいし、体もほぐれて調子いいんだ。 「あ、また面白そうなことやってるな」 「わあっ、痛いよ」  僕がポーズをとっている上から、大きな体を乗せてくる。 「仕事してるんだから、ご褒美よこせ!」  またそんなことを言い出した。お前は動でも静でもやることは変わらないな。 「仕事、嫌ならやらなくていいんだぞ? もう帰国するか?」 「ええ!? ひどいな。なんだよっ」  少し意地悪だったかな。佐山は僕の横で拗ねた顔をしてあぐらをかいた。 「嘘だよ。床じゃ痛いからベッドまで運んでくれ」 「だめだ。ここでやる」  僕が両腕をあいつに向けて伸ばしたのに、無視してのしかかってきた。仕方ないなあ、もう。 「ふふん。俺の燃える愛を受け取れ」  お前の熱い愛なんていつでも受け取っているよ。それがぼくの命の源みたいなもんだ。そうだよ、それがないと生きていけなくなってる。 「……佐山……んん……」  僕はあいつの背中に両腕を絡める。非日常の旅先であっても、僕らのアパートであっても、僕がおまえを好きな気持ちは変わらない。 「好きだ……。どこにも行かないでくれ。俺のそばにいてくれ」  佐山が息を荒げながら呻くように言う。僕の体を貪る大きな手と唇が這い回ってる。 「行かないよ……行けと言われても、絶対に」 「そんなこと言うもんか。あんたは俺といるんだ。ずっと」  僕は腕に力を込める。どんなに言葉にしても足りない。どんなに誓っても足りないくらい愛してる。もし誓えと言うのなら、この島に住む神々の1人ひとりに僕は誓ってもいいよ。 つづく
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