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番外編 僕とあいつのいちゃバリな日々 最終回
ついに『神様の島』とお別れする日が来てしまった。2週間なんてあっという間だ。
でも、そろそろ潮時な気持ちもあった。僕たちの巣であるアパートが懐かししく思える。それに僕らの天国は場所を選ばない。どこでも良いんだよ。二人でいれば。
「スーツケースにお土産入るかな」
「俺、あんまり買ってないから余裕あるぞ。こっちに入れたらいい」
僕の実家の分はもちろんだけど、事務所や世話になった方へのお土産も全て僕が考えて買った。あいつは自分用と親しい友人(数は少ない)のくらいだから当然だ。家族のは……買ってないのかもしれない。
「ああ。頼むよ。嵩張らないのにはしてるから大丈夫だと思うけど」
「嵩張ると言えば、インスタントラーメンが大分場所取ってるな」
「買いすぎなんだよ。あ、でも大丈夫。入ったよ」
飛行機は深夜便なので、僕らは最後の時間を有意義に過ごすことにした。
佐山がここで形にした楽曲を披露してもらったんだ。アコースティックギターとモバイルで聴かせてくれたそれは、今まで耳にしてたパーツを見事な作品に作り上げていた。
「どれもいい。これはなんか凄い事になりそうだな」
僕は心底興奮した。今までの佐山の楽曲はどれも好きだけど、これは別格だ。なにかが佐山の中の才能をまたワンランク上昇させたように感じた。
「そうか? 俺も自信はあったけど、あんたにそう言われると揚がるな!」
佐山はまじりっけの全くない笑顔を見せた。そんな顔を見せてくれたら、本当にここに来て良かったと思えるよ。
あとで社長や担当の水口さんにメールしよう。きっと喜んでくれるはずだ。
「それはそうと……」
「ん? な、おいっ!」
佐山はいきなり僕をお姫様抱っこをしてきた。そりゃ、それは外さないとは思ってたけどさ。
「天蓋付きのベッドなんか、なかなか使えないからな」
「うわっ」
ぽいっとベッドの上に落とされる。僕は天蓋の屋根を見上げる。バリ王宮を模したと言うこのベッド。少女趣味と言うより籐で組まれた格式高い雰囲気で嫌いじゃない。
でも、そんな格式なんてお構いなしの佐山が僕の視界を塞ぐ。
「んん……」
視界と同時に空気を塞がれる。あいつのエロ唇と舌に、僕は酸素と思考を奪われた。
「ふうっ。はあっ」
佐山が僕の体を蕩けさせていく。もう天井も目に入らない。あいつの大きな手が僕の心も体もまさぐって鷲掴みにしていくんだ。
「さやま……」
あいつの名を呼ぶ僕の唇を、佐山は慌てたように塞いだ。好きだと言わせてくれ。おまえを愛してたまらないのだと。
「倫、好きだ……愛してる」
僕の代わりに佐山が言う。情感たっぷりに、僕の目を見つめながら。本当におまえは、いつも僕の言いたいことを先に言うんだから。
「僕もだよ。帰ろう……僕らの家に」
ため息を吐くように、僕はようやく言葉にする。この地で過ごした僕らの時間を思い出に代えて、また新しい日々を二人で生きていこう。
「あんたとなら……何処でも天国だ」
佐山はもう一度、今度は優しくキスをした。
番外編 終わり
長らくの応援、ありがとうございました。
※続編「僕とあいつのいちゃラブな日々2~溺愛カップルのアブナイ日常」
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佐山がまさかの浮気!? 知らざれる過去とは?
色々事件は起きますが、彼らの溺愛、変わることはありません。
相変わらずいちゃラブでえっちな日常公開中!
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